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 ぶらり歩き   
 35. 石見銀山を訪ねて (3)   平成26年5月2日
 熊谷家から数分のところに、大森町の有力商人の一人で郷宿(ごうやど)を務めた青山家(写真9)の、やはり白い漆喰壁で切妻造りの桟瓦葺きの建物がある。当時、漆喰壁の建物の建築を許されるのは、代官所、熊谷家、青山家など行政、有力商人等に限られているようである。


 更に、町並みを進むと、大森代官所が銀の産出が盛んであることを祈願したという観世音寺(写真10)が小高い岩山の上に建っている。山門は寛政(1789年〜1800年)の大火で焼失したため、現在の山門は万延元年(1860年)に再建されたものである。境内に登ると、銀山街道の両側に展開する町並み(写真11)を一望することができ、石州瓦で葺いた屋根が陽光に反射して赤く輝いて見える。石見地方はわが国有数の瓦の生産地で、来待石(らいまちいし)を釉薬(ゆうやく)に使っている。そのため、石州瓦は赤色となり、高温で焼き上げるので水分を通しにくく風雪に強い特徴を持つ。しかも光沢があり、汚れもはじいてしまうのか、どの屋根を見ても新品の輝きを保ち、実に美しい景観を作り出している。
 また、大森町を貫く銀山街道の両側の山峡の土地に家々が軒を並べて建っていることがわかる。


 再び、銀山街道を歩くと、何軒かの民家の玄関辺りには、竹の花瓶(写真12)に思い思いの花が何気なく活けられ、質素ではあるが気品と落ち着きを感じさせる。

写真9 青山家住居

写真10 観世音寺

写真11 観世音寺からの町並み 

写真12 大森町 民家先の竹の花瓶

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